魔女の瞳Ⅲ
15世紀の言葉に「男の妖術師(ソルシエ)一人に対し、1万の魔女がいる」とある。

魔女は割と数多く存在するけど、男の妖術師(ソルシエ)は貴重だという、そのままの意味だ。

21世紀の今の世ともなれば、魔術を使う術者…ましてや呪眼持ちの術者なんて本当に稀有な存在といえる。

修内太にはそれを自覚して欲しいのだ。

自分の矜持とか誇りも大事だけれど、数少ない呪眼使いとして、止むに止まれぬ戦いであっても命を大切にして欲しい。

なのにコイツときたら。

「日を改めて、時貞とは正々堂々と戦いたい。メグ、まさかジルコーは時貞を殺したりはしてないよな?」

「殺せないわよ、時貞は元々死んでるんだから」

もう一度溜息をつき、私は山頂への降下を開始した。

…気を取り直す。

さっきも言ったけど、ここからは私達の番だ。

百禍を殲滅、最悪でも封印しなければならない。

今回の作戦が失敗すれば、百禍も私達を警戒し始め、容易に殲滅や封印は出来なくなるだろう。

つまり、作戦を成功させるチャンスは今回限りという事だ。

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