魔女の瞳Ⅲ
「!?」

私も、修内太も。

確かにそんな声を聞いた。

空気を振動させて耳に伝わってくる声ではない。

心に、精神に、直接語りかけてくるような声。

その声と共に。

「メグ!」

修内太が叫んだ。

その声に振り返ると。

「……!」

私は絶句した。

今しがた描いたばかりの魔方陣をいとも簡単に突き破って。

一人の女が、地面からゆっくりと姿を現し始めていた。

雅な着物を纏った、美しい黒髪の女。

年の頃は十代。

まだあどけなさすら残る、少女といってもよかった。

だがその表情に、少女らしい笑顔はない。

あるのは悲しみを湛えた表情。

そして、この世を呪わんばかりの憎悪に満ちた瞳。

その瞳から溢れ出したかのように、彼女の周囲にはどす黒い触手のようなものが、数え切れないほど彼女の身を覆い、うねり、絡み付いていた。

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