魔女の瞳Ⅲ
北欧のルーン魔術(正しくはルーン魔術ではなく別の魔術系統)における呪いの一つに、『ガンド』というものがある。

ガンド撃ちとも呼ばれ、相手を人差し指で指すことで体調を崩れさせるというものであり、強力なものを『フィンの一撃』と呼び、こちらは直接的なダメージを与える。

人を指差す行為が失礼であるとされるのはこのガンドに由来するともいわれる。

…少し話が脱線したが。

「あの触手はそのガンドと同系列のものよ…直接的なダメージを与える事のできる呪いや怨念…避けられない時は全力の障壁で防ぎなさい。命にかかわるわよ」

「…わかった」

修内太の息を呑む音が聞こえた。

無理もない。

あんなあからさまに殺意を剥き出しにする敵は、修内太は初めて相手にする筈だ。

百禍に比べれば、ホムンクルスや竜なんて可愛く思えてくる。

百禍は…恐らくこの世の全てを憎悪している。

非業の死を遂げた事で、この世の全てに己を否定されたと思い込んでいる。

その結果、あれ程の強い怨念を身にまとう事になってしまったのだろう。



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