魔女の瞳Ⅲ
百禍と私達。

数メートルの間合いを挟んで無言の対峙。

…息苦しくなるような圧迫感が私達を襲う。

そして。

「!!」

言葉を交わす事すらなかった。

何の前触れもなく、百禍を守護するように彼女を覆っていた黒い触手達が、一斉に私達目掛けて飛んできた!

その尖端を向けて高速で飛来する、怨念が形と為した触手達。

「    !」

「くっ!」

私は高速詠唱を、修内太は呪眼を駆使して強化の魔術を自らの身に行使する。

それでも紙一重で、私達は触手の攻撃を辛うじて回避した。

触手達は勢い余って樹木に、地面に突っ込み。

「…っ…!」

いともあっさり穴を穿った。

まるで弾丸だ。

穿たれた穴からは、プスプスと燻るような音。

更には。

「…マジかよ」

修内太が口走る。

既に枯れ果てていた樹木。

その樹木が腐蝕し、朽ちて横倒れになったのだ。

あんなものまともに食らったら、簡単に体を貫通されてしまうだけでは済まない。

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