魔女の瞳Ⅲ
鍵穴としても機能する、私の胸にある『デッドゲイトの紋章』。

それを貫いた事で、異界の門そのものである私の体は死の世界へと繋がる。

禁呪『異界開門』は、この世界と死の世界を連結させる最上級の魔法。

開門すれば最期、対象とされた相手は確実に死す。

しかし、目の前にいる百禍は『既に死んだ存在』だ。

死した者が二度目の死を迎える事は有り得ない。

故に百禍には禁呪は通用しない。

修内太の考えはあながち間違いではない。

…でも、ならば悪霊の類が不死かというと、それは少々違う。

悪霊にも明確な死とは違うものの、それに匹敵するものが存在する。

『魂魄の消滅』、或いは『昇天』。

この国の言い方に変えるならば『成仏』という奴だ。





< 74 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop