魔女の瞳Ⅲ
四人で下山していく。

「思ったより時貞さんはすんなり成仏していきましたね」

桜花が呟く。

「…四門の言葉に偽りがない事は、奴も承知していたんだろう。離れた位置にいた俺達でさえ、禁呪で怨念も残さずに消えていく百禍の気配は感じ取れたからな」

ジルコーが歩きながら言った。

…もしかすると時貞も、本心では百禍の昇天を願っていたのかもしれない。

しかし彼女に仕える武士として、彼女の願いを聞き遂げない訳にはいかなかった。

己の感情を押し殺してまで、死して尚忠義にその魂を費やしたのだ。

「…馬鹿な男」

「おいっ、メグ!」

私の言葉に修内太が食ってかかる。

それを無視して。

「でも…最後の最後で百禍は幸せだったかもね…」

そう呟くと。

「……………かもな」

仏頂面して修内太も頷いた。

…そんな私達の様子を。

「…ちょっと、桜花?」

何やら桜花がいい感じで目をキラキラさせて見ている。

「メグさん、修内太さん、何だか素敵です。分かり合える二人の会話って感じで」

「ちょっと!」

ジルコーといい桜花といい、どうしてこいつらは私と修内太をセット扱いしたがるのか。

悔しいけど今は修内太に背負われているしかない以上、反論の余地はなかった。


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