魔女の瞳Ⅲ
麓に辿り着くと、クリス以下数十名のエクソシスト達が待ち構えていた。

「いい格好でお帰りだな、四門メグ」

開口一番、修内太に背負われた私にクリスが言う。

全く、どいつもこいつも。

「ご注文通り、百禍を『昇天』させてきたわ。無力化させたんだから殲滅じゃなくても文句ないわよね?」

背負われているのは確かにかっこ悪いけど、私はいつもの口調で言った。

「…なんと」

「あの悪霊を…」

エクソシスト達の間で、口々に驚きの声が漏れた。

流石は悪名高きデッドゲイトの魔女…とでも言いたいのだろう。

そして、その後の展開も私にはわかる。

「クリス司祭!」

一人のエクソシストが聖油の瓶を片手に身構える。

「メグ・デッドゲイトは百禍との戦いで弱っています。こやつを殲滅するならば今が好機かと」

その言葉に、他のエクソシスト達も同意したように私達を囲み始めた。

「そんなっ…約束と違いますっ!」

うろたえる桜花。

「チッ…だから異端者殲滅専門職は…!」

ジルコーが獣人態への変身を始める。

「…!」

修内太もまた、私を庇うように身を固くした。

しかし。

< 82 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop