魔女の瞳Ⅲ
「やめないか」

エクソシスト達を制したのは他でもない、同じエクソシストのクリスだった。

「聖職に就く我々異端者殲滅専門職が、約束を違えるとは何事だ。恥を知れ」

「し、しかし!」

食い下がる若いエクソシスト。

それを。

「相手が魔性だろうと何だろうと、己に恥じる行為は絶対に許さない。もしこちらの依頼通りに仕事をこなした時は手出し無用…司教も仰っておられただろう」

エクソシスト達を一喝した後、クリスは私達を見た。

「そういう事だ。今後教会は貴様らに対しては殲滅行為を仕掛ける事はない…とはいえ全面的に信用する訳ではないがな…監視は続けさせてもらうし、人間に仇なすようならば即座に殲滅する…努々忘れぬ事だな」

その言葉を最後に、黒衣の集団は私達の前から去っていく。

最後まで横柄な物言いだったが、クリスも教会の人間として、約束は守ったのだ。

「…へぇ…なかなかに『漢』じゃねぇか、あの野郎」

ジルコーがニヤリと笑った。

「フン」

私も微かに笑った。

「ま…少しは見直してやってもいいかもね」


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