強引上司がいきなり婚約者!?
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ふと窓の外に目を向けると、いつの間にか真っ暗になっていた。
ファイルをバタンと閉じて息を吐き出す。
改めて思ったけど、兎川主任ってやっぱりすごい人だ。
人当たりがいいだけじゃなくて、お客様に誠実だし、信頼に応えられるだけの知識と技術がある。
こんな裏技みたいなやり方で建築許可を取った事例は社内にはないと思うけど、兎川さんにとってそんなことは問題じゃないんだろうな。
オフィスを見回してみると、金曜の夜に残業をしている人は数えるほどしかいなかった。
主任のデスクも空っぽだ。
私は区切りのいいところで切り上げて、帰り支度をすることにした。
パソコンの電源を落として、ロッカールームへ向かう。
携帯のメールをチェックしたあと、兎川さんに連絡をするべきかしばらく悩んだ。
休日に花嫁教育の約束はしていない。
話をしなくちゃいけないってことはわかってるけど、いつもさり気なく日取りを決めてくれていたのは兎川さんだったから、自分から誘いを入れるのは緊張する。
私はロッカーから荷物を取り出して肩にかけると、携帯を片手に持ったまま、眉間にシワを寄せて廊下へ出た。