男の秘密 -繋がる未来-
『ほんとうに、それが、本心なの?もう、忍さんの家族は元に戻らないの?』

腕の中でグルグルと考えが回ってしまい、もやもやとした気持ちになった。

「お風呂に行ってきます」

スルリと忍の腕から出たが、忍の顔を見る事は出来ず、そのまま逃げるように風呂場に向った。

「やっぱり無理なの?」

折角昼間楽しい気持ちになったのに、今は寂しい気持ちになった。

『でも、私にできる事をしたい』

自分の願望が見せた夢かもしれないが、両親の夢の事を思い出して、気持ちを切り替える。

自分の両親は亡くなってしまったので、喧嘩も、仲直りも出来ないが、忍の両親は健在なのだ、俳優になる時に絶縁したならば、もう12年位経っている。

もしかしたら、両親の気持ちも変っているかもしれない。

それに、このまま日本を離れてしまっては、更に話し合う機会が無くなる事は目に見えている。

『これが、最後のチャンスかもしれない』

弱気になる自分を奮い立たせるようにそう考える。

風呂から上がると、忍はリビングには居なかった。

『寝室に入ったのかしら』

今は顔を合わせても、お互い冷静になれないかもしれないと思い、優も自室に入り、眠る事にした。
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