男の秘密 -繋がる未来-
「凄いな・・」

ため息をつきながら双方を見比べていたが、忍はプリンを選んだ。

「じゃぁ私はゼリーにするから、食べ比べしましょ」

鼻歌を歌いそうな上機嫌で優がスプーンを用意し始める。

こんな日常が訪れるなんて少し前の忍には想像がつかなかった。

もしかすると、一生独身かもしれないと思った事もある。

ありのままの自分を受け入れてくれる人に出会う確率が、どの程度の物かは分からないが、さやかの言葉をかりれば奇跡のようだと思えた。

そして、自分も優の事が手放す事が出来ないほど大事で、優もそう思ってくれている。

片方だけが思うのでは無く、お互いが失いたくないと思える相手に巡り合えたのだ。

「本当に奇跡だな」

「え?何か言った?」

デザート以外にコーヒーの用意をしていた優には、忍の独り言は聞こえなかったらしい。

「優が俺を拾ってくれて良かったって」

「えぇぇ!どうして今思い出すの?!」

「何となく、あ、それ持っていくよ」

入ったばかりのコーヒーを最後にお盆に乗せて、運んでいき、その後を優がついて行く。
< 150 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop