男の秘密 -繋がる未来-
先ほどの小寺医師が自ら点滴をする為に再度病室を訪れた時、やっと優の目が開いた。
「気分はどう?」
爽やかな笑顔でそう話す、小寺医師は忍と同年代位に見える。
背は忍より低く、少し痩せ型の体系で、甘いマスクに少し癖のある茶色い猫毛の男性だ。
間違いなく院内ではイケメンと持て囃(はや)されているだろう事が、想像できる。
「はい、まだ眠いです」
トロンとした目で小寺を見る優に忍は思わず優の顔を覆いたくなった。
『こんな無防備な顔、俺意外に見せるな!』
そう心の中で叫んでいる自分は、かなり心が狭いのだろうと思った。
表情には出さないが今すぐ、小寺を追い出したい衝動に駆られていた。
「そうですか、眠かったら寝ててもいいけど、出来たら食事もして欲しいな」
「あぁ・・はい。・・頑張ります」
「うん、斉藤さんは口を開けるだけで、彼氏さんが口まで運んでくれるだろうから大丈夫だよ」
「え?・・・彼氏・・さ・ん?」
「無意識なの?しがみ付いてるの」
「え・・?」
くすくすと可笑しそうに笑う小寺の言葉に、今の状況を考える為に辺りを見回した。
自分が何に体を預けているのか・・・・。