男の秘密 -繋がる未来-
「今だけ貴方のお母さんになってあげる」
「じゃぁ僕はお父さんだね」
そう言って笑う二人が眩しかった。
「あの・・。優人さん」
「お父さんって言ってもいいだよ」
「お、お父さん」
「なんだい。優」
最初で最後かもしれないこの奇跡のような時間に、お父さんと呼ばせて貰えた事、自分の事を優と呼んで貰えた事を一生忘れないでいようと思った。
「あのね、抱きしめて貰えますか」
自分は何処まで欲張りなんだろうと思ったが、どうしても抱きしめて欲しくて、勇気を振り絞ってそう言った。
「僕が抱きしめてもいいのかい?」
「はい」
優人の言葉に泣き止んだ筈の涙がまた溢れてきた。