男の秘密 -繋がる未来-


「おいで、優」

いつの間にか優人の胸を独占していた小さな優が居なくなり、代わりに優人が両手を広げて優を迎えてくれたので、その胸に飛び込んだ。

「お父さん!お父さん!」

今までの寂しかった時間を埋めるように、何度も何度もそう呼んで優人の胸で泣いた。

いつの間にか優を後ろから千尋が抱きしめていた。

「お母さん!」

「忘れないでね。どんなに遠く離れていても貴女の幸せを祈っている事を」

「忘れないでいてくれ。いつだって、お前は父さんと母さんの自慢の娘だって事を」

「!?」

二人に抱きしめられて、号泣してしまう。

二人は、自分が娘だと知っていたという事に驚いてそして、嬉しくて胸が苦しくなる。
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