ふゆの恋花火
冬
「冬に花火っていいよな」
文化祭の出し物を決める話し合いをしている
わたしの隣で、明るい色の髪をいじりながら赤名葵(アカナアオイ)が呟いた。
「ばっか。花火は夏っしょ?」
わたしは、海を横目で睨みながら悪態を吐いた。
「だからこそだよ。
冬に見る花火はロマンチックだろーなって」
「へぇ。あんたの口からロマンチックだなんて言葉出るんだ。
世の中のロマンチストが号泣するわ」
「あぁん?!」
「二人とも!!
文化祭の出し物決めで喧嘩しないでよぉ!!」
親友の秋葉が睨み合うわたしと葵の間に入って仲裁をしてきた。
「…花火いいじゃんかよ」
葵は口を尖らせながら言った。
「わたしは構わないけど…」
秋葉はちらりとわたしを見た。
「…賛成…すりゃいいんでしょ」
わたしは、ぶっきら棒に言い、席を立ち
トイレに逃げ込んだ。
「…何で、あんな言い方しちゃうんだろ……わたし」
わたしはトイレの壁に保たれ、深く溜め息を吐いた。