ふゆの恋花火
――文化祭当日
わたしたちは、何もかわらず、いつもどおりだった。
「やっぱ盛り上がるなぁ」
「だね…」
わたしは、隣でたこ焼きを頬張る葵を見た。
…もうすぐ
この笑顔が、わたしじゃない誰かのものになっちゃうのかな……。
けど、わたしは決めた。
今日、葵に告白する。
どうせダメなら、やっといて損はない。
「美冬ー、次どこ行くべ?」
自然と一緒に行動していたわたしたちは、葵の友達の恰好の餌になった。
「何だよ葵ー!!
お前高町とデキてんの!?」
「ばぁか。お前らみたいなムサ男に襲われねーように見張ってんだよ」
葵はわたしの腕を引っ張り、自分の背中にくっつけた。
「お前らに美冬はもったいねぇからな」
…そんなの
冗談だってわかってても、心臓は言うことを聞いてくれない。
わたしたちは葵の友達を振り切って屋上に逃げ込んだ。
「ハァ…ハァッ……あいつら…まじしつこい。
ごめんな。嫌な思いさせて」
「べっ、別に。平気」
そう言ったわたしは、携帯に付けていた葵から貰ったももぶたがないことに気付いた。