ふゆの恋花火
「…な…ない」


わたしは足元や、屋上の入り口を見てみたが

見つからない。


「どぉしよ…やっぱりない…!」

「どーしたんだよ」

「ももぶたが…葵に貰ったももぶたがないの…!!

さ…さっき走ったときかも…。
あたし、探してくる!!」


そう言って、わたしは入り口に向かった。


「ま、待てよ!
あんなもんまた取ってやるじゃん!!」

「あ…葵にとっちゃ、あんなもんかもしれないけど……わたしには、すごい大切なものだもん!!」



わたしは、目に涙を浮かべながら叫んだ。


「…美冬…」


ってか

今の……告白じゃん。



「…あ…の」

「お前…そんなに好きだったのか…」

「いやっ……その…」

「……あの…ももぶた」


「え……」


わたしはマヌケな声を上げた。


「も、もぶた?」

「俺が取ってやったももぶた、そんなに気に入ってたんだ?」

「う…うん!!…そう。すごい可愛かったから」


葵は納得したように頷き、歩きだした。


「じゃあ一緒に探してやるよ」

「あっ、ありがとう!!」




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