ふゆの恋花火
高町美冬。
それがわたしの名前。
冬生まれだから、美冬。
あまりにもヒネリがなさすぎる。
そして何より、わたしは冬がきらい。
そんなわたしは、あの赤名葵が
好き。
誰よりも…何よりも…。
茶髪で、制服は崩して着て
やる気なさそうな顔してるくせに実は結構熱くて
運動が出来て、頭も良くて
以外と優しくてカッコイイ。
短所もあるかもしれないけど
ずっと見てると、いいところばかりが見えてくる。
女の子の憧れ。
そんな葵とは、普通に会話も出来て、他の女の子よりチャンスは多いはずなのに
「…何で素直になれないんだろ…わたし」
「ソレが恋ってもんだよ」
頭上から返事が聞こえて、驚いて上を向くと、呆れ顔の秋葉がいた。
「あ…秋葉…」
「…素直になれないのが恋なんだよ」
秋葉は、しゃがみこんでわたしの頭を撫でた。