ふゆの恋花火
「チャンスだよ。文化祭の花火」
「何で」
秋葉は人差し指をたてて、首を傾げながら続けた。
「あのね、これはちょっと古いジンクスだから知らない人が多いんだけど…。
もう20年くらい前なんだけど、その頃は毎年文化祭で花火を上げてたの。
その花火を好きな人と見ると、両思いになれたんだって」
「じゃ…葵と一緒に花火を見れば…」
両思いになれるってこと?
わたしは勢い良く立ち上がり、秋葉に抱き付いた。
「秋葉!!ありがと!!
やっぱあんた最高だよ!!」
「親友のためなら何でもするよ」
機嫌が直ったわたしは、そのあとの授業はずっと上の空だった。
「何だよ美冬、ご機嫌じゃん。
なんかいいことあったのか?」
「んー…まぁね」
「……ふぅん」