ふゆの恋花火
わたしは顔だけ葵に向けた。


「ねぇ、葵」

「ん?」

「文化祭で花火上げたら、好きな人と両思いになれるってジンクス知ってる?」


葵は同じようにわたしのほうを向いた。


そして返ってきた答えは、意外なものだった。



「知ってるよ」



わたしはすぐに返事が出来なかった。


「…美冬?」

「あ…そっか。知ってんだ」

「うん。だから提案したんだし」



葵は頬を少し赤くして答えた。






この反応は……




聞かなくてもわかる。





…葵…


好きな子、いるんだ。






わたしは何も言えず




ただ、葵から顔を背けて涙を流した。











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