ふゆの恋花火
暫らく無言でいると、葵がわたしの肩に手を置いた。
「美冬っ」
「っ!!…な…何?!」
「何だよ、目ぇ赤いぞ」
「ね、寝不足なの」
「ふぅん?あのさぁこのまま学校サボって遊びに行かね?」
わたしは自分の耳を疑った。
今、わたしに好きな子がいるっていうことほのめかしたばっかじゃん。
なのに……
わかっていても、断ることは出来なかった。
「……うん…遊ぶ」
「よし、決まり!!」
葵はわたしの手を取り、立ち上がった。
「え…ちょっ」
「遊びに行くべ!!どこ行く!?
ゲーセン?カラオケ?マック?」
葵は今まで見たことないくらい、明るい楽しそうな笑顔を見せた。
その笑顔に、わたしの心は爆発寸前。
「…ぜ…全部!!」
「…全部ぅ!?欲張りだなー」
そう言いつつも、葵は楽しそうに廊下を走っていた。
「……葵」
わたしは、わたしの手を引きながら前を走る葵の背中に呟いた。
「………好き…」
「え?なんか言った!?」
「なぁんも言ってない!!」
「そっかぁ?」
「……うん」