領収書
1.白い紙
気付くと彼は、暗闇に立っていた。
辺りを見渡すと、白い紙が散らばっていた。
一枚、手に取って内容を確認する。
199○年10月3日
猫 200
猫…?あぁ、思い出した。
昔に飼っていた、真っ白な猫。
また一枚、手に取って確認する。
199○年5月20日
母 320
5月20日…これは覚えている。
妻の命日だ。
そうして彼は、何枚も何枚も紙を拾って、内容を読んでいった。
200○年2月
ドレッサーの中身 30
大切な指輪 150
家にあった白いドレッサー。
いつも中には、たくさんのアクセサリーが入っていた。
ドレッサーの上には、綺麗に飾られた指輪が置いてあった。
200○年4月10日
給料 15×36
給料…?これは何のことだかわからない。
201○年6月24日
体 20×?
体…?これも何のことを指しているのか、まったくわからない。
紙を読んでいる内に、この横に並ぶ数字が気になった。
日付と、物の名前、そして数字。
いったい何を示しているのか、さっぱりわからなかった。
201○年7月30日
私 300
昨日の日付。
7月30日は、私の誕生日。
300…いったい、この数字はなんだろう。