【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
ようやく傾き始めた太陽を浴びながら田中先生が苦笑いをした。
「手伝います……」
べ……別に嫌いなわけじゃないんだけど。
田中先生は怒ってるわけじゃないんだろうけど、普段ムスっとしたよう、なんというか無表情で。
何を話したらいいのかわからないような人。
「ありがとう和藤さん。あとは図書室まで運ぶだけだから、すまないね」
ヨレたポロシャツに皺の寄ったズボン、中途半端に伸びたごわついた髪。
失礼を承知で言わせてもらえば田中先生に対して好印象を持てるところが一つもない。
「それなら、わたしも半分持ちます。ぶつかってしまってごめんなさい……」