【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
わたしがそう言うと返事をする代わりにコクっと小さく頷いた田中先生と一緒に図書室まで歩き出した。
無言……ひたすら無言で図書室まで着くと、よりにもよって部屋の一番奥の棚までそれをしまいに行った。
「助かるよ」
「……いいえ。とんでもないです。あの、あと少しなのでわたしがやっておきますよ?」
だってこの無言の空気……。
息が詰まりそうでとても耐えきれないよ。
「じゃあ、お願いするよ。悪いね、このあとまだ研究結果を打ち込む作業があって」
「そ、そうですか……」
踵を返した田中先生が二、三歩足を進めると、すぐに振り返った。
「ヒッ……」
静まり返った図書室で思わずわたしの失礼極まりない声が反響した。