【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて



「体調は?」


「……えっ?体調?」


「君は時々、苦しそうじゃないか。夏バテならまだいいが。勉強も委員会活動も、あまり無理をしてはよくない」


「田中先生……」



驚いた……。


田中先生と必要最低限ではない会話をしたのは初めてで。


それも、わたしを心配してくれてのこと。



「それに。保健室にもよく行ってるそうじゃないか?女の子なんだし……というか、ええっと。なんというか、身体を大切にしないと」


「あっ、ありがとうございます」



田中先生は下手くそな笑顔を見せると、ごわついた髪を無意味に直してぎこちなく図書室の出口へと向かった。



みんなに鬱陶しがられて“スミ爺”……なんて呼ばれてるけど、もしかしたら本当は思いやりとかそういう温かさを持ってる人なのかもしれない。



ーーーカタッ



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