【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて



津田先輩はとっくにこの特等席の杏奈に気づいてたんだと思う。



「オレが見上げたら窓から離れちまうし」


「だって、見てるって思われたら……」


「なに?見てるんじゃねえの?もしかしてオレ自惚れてんのか?」


「え……?」



声のトーンは変わらずいつものクールな津田先輩なのに、言ってる言葉は杏奈をたちまち嬉しくさせたらしい。



「オレは外からいつも竹川が顔出さねぇかなって見てたんだけど?でも、オレが見ると逃げちまうんだよ、お前」



黒い髪から覗く無愛想だと思っていた津田先輩の切れ長の眼差しが、杏奈にだけ向けられている。



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