【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて



ーーー七瀬先輩の憂いの影に染まる瞳、鼓膜を揺るがす甘い声も、誰もが振り返る空気を放って、大胆不敵な笑みを零す。



女の子を虜にする全てを持ち合わせた人。



夏目先生もそのうちの一人だったのかな……。


立場とか理屈とか全部取っ払ってでも。



「それでも先生のそばにいたかった。オレなら、夏目先生を泣かせないって言ったんだけど、“本当に好きな人にだけ優しくして”……って、捨て身の告白も一蹴りされたよ」



捨て身の覚悟……常磐君の想いは、夏の入道雲みたいに真っ直ぐだ。



ーーー“アナタの優しいところは今も変わらないのね、常磐君”



保健室で夏目先生が常磐君に向けた言葉の真意を、今さら知った。



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