【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
「ヒィッ!早々に噂をすれば美しい悪魔の君臨……だねっ、八重?」
杏奈の声にわたしのクラスの前を歩く姿は遠目に見れば威風堂々。
偉そうにしてますが昨日は保健室でオオカミに変貌しようとしていましたよね……夏目先生相手に。
なんて口には出せずに悶々とした気持ちで七瀬先輩を見ていた。
その時、不意にわたしのクラスの前で足を止めてこっちへ振り向いた。
「七瀬先輩………!このクラスに、あの、何かご用でも……」
教室の入り口からリンゴみたいに頬を染めたわたしのクラスメイトが七瀬先輩にそう尋ねると。
「昨日見つけたすげぇ気になる子。このクラスだと思うんだけど?」
ーーー妖しげな笑みがわたしを捉えた。