【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
「あのあと、オレはマンションに戻らなかった。でも何度もなんであんな嘘ついたんだって聞いたんだけど、答えてくれなかったよ。あの状況から、オレを遠ざけたかっただけなんだろって思う……」
爽やかな目元は悔しさでいっぱいだった。
「……かと思ったら、和藤さんに近づいて。何やってんだコイツって腹がたって。だからオレ、心底アイツが嫌いだった。もう、忘れようと思った……何度も」
蝉の声に掻き消されてしまいそうなほど小さな声。
常磐君は、そっとわたしを視界に映す。