【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて



「でも思うんだ。本当にそんな理由だったのかって。アイツは、高いところから何を見たんだろうって……今でも、それはわからないんだけどね?」


「……っ」



ーーー“答える気はない。つーか、オレは言いふらすつもりなんかねぇよ?”



七瀬先輩の偉そうな顔がぼんやりと瞼に浮かんで泣きそうになった。



そして、甦ったのは美しい人の横顔で。



ーーー“夏は暑くて嫌い?こんな季節はアナタのこと、すごく心配になるの”



保健室で休むことばかりなわたしを心配してくれた夏目先生も、本当はきっとそれを知っていたんですね……。


なのにわたしは全てから逃げ出して、なんて救いようがないんだろう。



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