【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
「これがあの日、和藤さんを見つけた理由だよ。まさかそんなことがあったなんて、オレ、情けなくて言えなかったんだ……」
だから、夏休みが明けても常磐君はわたしに理由を聞いてくることはなかった。
わたし達は、あの夏、少なくとも知られたくない何かを抱えていた。
「それに、さっき夏目先生と話をしたんだ。話すきっかけがなかったけど、今さらだけどちゃんと話しておきたいって言われて……」
「……な、何を、話したの?」
「夏目先生が泣いてた理由。それに、七瀬昴のことだよ。目に見えるものが全て真実じゃないってこと。オレ、ほんとバカだった……」
淡々と語り終えると自分に呆れたように苦い笑みを頬に溜める。