【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
本当の気持ちを見抜いたみたいに、常磐君がふわりと微笑んでくる。
「和藤さんって……自分じゃ気づいてないんだろうけど、七瀬昴の名前に反応してるんだよ」
鼓動は焦りからか急速に速まっていく。
わたしは言葉を探しても見つからなくて、耐えきれずに顔を背けるしかなかった。
「今さらオレが言えることじゃないけど、七瀬昴ってもしかしたら、和藤さんのことずっと見てたのかもしれないね……?」
ーーー七瀬先輩。
心の中で名前を呼ぶだけで、わたしの細胞が瞬く間に反応する。
七瀬先輩、七瀬先輩……。
「……常磐君、わたし、行かなきゃっ、」
「うん。行っておいで」
穏やかに頷いた常磐君の瞳は強い意志がこもってる。
その表情は、夏の太陽に照らされて眩しかった。