伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
……えっ……?

ライルからの言葉が突然すぎて、クレアは正しくその意味を理解出来なかった。

……それは最初にお断りしたはずなのに……どうして……?

すると、ライルはクレアの手を優しくすくい上げた。

「今後、君を泣かせることは、絶対にしない。嫌がることも困らせるようなこともしない。約束する。だから、これからも君のそばにいさせてほしい」

「……あ、あの……?」

「君を誰にも渡したくない。もう自分の気持ちを隠し通すのは限界なんだ。 俺の行動の全てが、婚約者のフリだと君に思われることも、嫌だ」

「……ライル様……?」

ライルは、もう片方の手を、クレアの白い手の甲に重ねた。





「クレア、君が好きだ」



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