雀の恩返し
僕はエサをふりまくと
喜んで雀達は床に降りて来た。
楽しいけどヤバいな。
管理人さんに怒られそう。
「他に住んでる人達の迷惑になりそうだから、今日だけね」
雀にそう言うと「ちゅん」ってまた返事をした。
「スズメなの?」
もう一度聞いてみた。
でも返事はない。
きっと違う。
上手く言えないけど
何か違う。きっと別人……いや別鳥。
彼女は自分から『もう会えない』って言ったから
きっともう会えないのだろう。
自分ルールには厳しそうだから。
「寂しいよスズメ」
朝の涼しい風を受けながら
僕は遠くの景色に訴える。
「とっても寂しいよ」
言ってもどうにもならないし
きっと
スズメが聞いたら『どうしてそんなにへタレてるんです?』って怒られそうだ。
そう思うと少し笑えた。
僕が笑うと君が嬉しくて
君が笑うと僕は嬉しかった。
前を向いて進まなければ……。