雀の恩返し

僕はエサをふりまくと
喜んで雀達は床に降りて来た。
楽しいけどヤバいな。
管理人さんに怒られそう。

「他に住んでる人達の迷惑になりそうだから、今日だけね」
雀にそう言うと「ちゅん」ってまた返事をした。

「スズメなの?」

もう一度聞いてみた。
でも返事はない。

きっと違う。
上手く言えないけど
何か違う。きっと別人……いや別鳥。

彼女は自分から『もう会えない』って言ったから
きっともう会えないのだろう。
自分ルールには厳しそうだから。


「寂しいよスズメ」

朝の涼しい風を受けながら
僕は遠くの景色に訴える。

「とっても寂しいよ」

言ってもどうにもならないし
きっと
スズメが聞いたら『どうしてそんなにへタレてるんです?』って怒られそうだ。

そう思うと少し笑えた。

僕が笑うと君が嬉しくて
君が笑うと僕は嬉しかった。

前を向いて進まなければ……。
< 114 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop