雀の恩返し

とりあえず
木之内さんが気の済むまで僕の胸を貸す。

気持ちが張り詰めていたのだろう。
ひとりで突き進んできたと思うと、なんだか気の毒になり頭をポンポンしてみると

余計に泣かれた。

やぶへび。

「もう少し肩の力を抜こうか」
僕が言い
彼女はうなずく。

「まだ始まったばかりだよ。これから頑張って結果を出して、お父さんやお兄さんに報告しよう」

【いまから ここから】だよね、みつをさん。

我が家にある湯のみをプレゼントしたい気分。
そしてお父さんやお兄さんっても、社長と重役だけど。

「目の付け所はいいんだよ。ほら、これを見てごらん……」

泣いてる女性は苦手だけど
仕事を教えるのは問題ない。

僕の案をファイルから出して机の上にのせると、木之内さんは身体をピクリと動かしそちらに集中。

いけるかな?
泣きモードより仕事モードになろうよ。

♪前向き前向き……昨日スズメが歌って踊りながら家の掃除をしていた。

「この数字わかる?どこから出てきたと思う?」

木之内さんは涙を止め
しっかり僕の話を聞いて

再び

ふたりでさっきの会議の続きを始めた。






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