雀の恩返し
次の会議で僕が提案したのは
しみない目薬&強烈目薬。
ペアで売り出したかったけど、やっぱりコストがかかりすぎて無理。
企画が通ったのは【しみない目薬】
パッケージを若い子に人気のイラストレーターさんにお願いし、ターゲットをもう少し絞ってみる。
ライバル会社がたぶん、超強烈クールな目薬を作ると思うから、うちの会社はイメージとして【甘やかす目薬】を推してみようと思う。とにかく甘く可愛いのはどうだろう。持ち歩いて自慢できる商品。
広報部と打ち合わせして目薬のキャラを考える。
「【涼目(スズメ)】って名前で、超小生意気で上から目線でカン違いな雀をキャラはどうでしょう」
リアルに我が家に居るからイメージしやすい。
雀のLINEスタンプを作ってもらおう。
あと商品開発部と連絡を取らなきゃ。
工場にも行きたい。
もう少し若い子の意見が欲しい。
リサーチ情報は正しいと思うけどやっぱりドラッグストアを回ろうか。
若い子がどの値段までなら出してくれるか。
悩んでいると昼になっていた。
今日のお昼はサンドイッチを用意してくれたスズメ。
軽く食べてから中岡とあちこち回ろう。
あいつを連れて行った方が話が円滑に進む。
軽く楽しそうに話す口調は尊敬したい。性格はマネできないけど。
サンドイッチを持って社食の中岡を捕まえようと歩いてたら、資料室が目に付いた。
そっと扉を開くと
狭い資料だらけの本棚の隙間から、女性の後姿が見えた。
木之内さん。
本当だ。ここでいつもひとりで食べていたのか。
恐るべしお掃除おばさんネットワーク。