雀の恩返し
「木之内さんも早く食べよう」って僕が早口で言うと
「こんな豪華なお弁当見た後では、コンビニで買った商品が恥ずかしくなります」
そう言いながら、おずおずとさっきのパンとおにぎりをバックから出したら
「あ、それ今日発売の新商品だ」
僕の目の前の女の子が木之内さんのパンを指さす。
「ええ。新商品に目がなくてミーハーなんです私」
照れたようにそう言う木之内さん。
すると
「あーわかるー。私もそう」
「私もそうだよ。それは美味しそうだよね」
「私も買おうと思ってました」
女子の共感度が上がり
彼女が座る前の雰囲気と空気がガラリ変化する。
女の子って不思議。
「じゃどうぞ。皆さんで味見しましょう」
「えーいいよいいよ。木之内さんのなくなるし。木之内さんって自炊?1人暮らし?」
「ひとり暮らしです。だから毎日お昼を作って持ってくるのが面倒で、ついコンビニになってしまって」
「コンビニより社食の方が安くて栄養あるよ」
「そうそう」
なんか会話が弾んでる。
「でも栄養価が悪いから、今日はこーゆー事にしよう」
中岡が女子の会話に入り込み
ついでに僕の目の前のランチボックスを中央に置く。
「今日は女子はこれ。亀ちゃんは木之内さんのおにぎり!」
「えっ?」
僕が驚く声と彼女たちの歓声が交わり
次々とスズメ手作りの豪華サンドイッチは、彼女たちの胃の中に入ってしまった。