雀の恩返し
そうだよね。もう二ヶ月……あ、また忘れてた!
「公募の二次審査の結果が出る日だ」
箸を置き
他人事のように僕がつぶやくと
「もうご主人様っ!カレンダーに丸を付けて下さいっ」
スズメは僕より早く動き出し
部屋に入って僕を急かす
「ダメかもしれないよ」
「絶対ダメじゃないです」
胸に手を当てながら僕がパソコンを立ち上げるのを見守るスズメ。
二次審査で10作品に絞られる。
結果が知りたいような知りたくないような
ドキドキしながらマウスを動かしメールをチェックすると
【二次審査通過のお知らせ】
そんな件名のメールが届いてる。
緊張しながらクリックして本文を読むと
どうやら僕が応募した作品は二次を通過したようだ。
「やりましたご主人様!」
ぎゅーっと痛いぐらい僕に抱きつくスズメ。
「うん。ありがとう」
「もっと喜んで下さい」
また泣きながら怒ってるし
器用な子だな。
「喜ぶというのか……ただ驚いてる」
「最終結果はいつ出ます?カレンダーに大きく丸を付けておきます。お祝いしましょうね」
「お祝いはないけど、最終結果は一ヶ月後」
僕がそう言うと
スズメの表情は曇りテンションが下がる。
「……スズメはもう……この家を出てますね」
ポソッと彼女は噛みしめるようにそう言った。