この想いが届くまで
来たばかりのワークスペースで自席に座ることなく再び外に出た未央は扉の外で行き場を失って立ち止まっていた。
一度きゅっときつく唇を結んでからなにかを振り払うように頭を振ると、もう一度トイレにでも行こうかと足を一歩進めた。しかしその足はすぐに止まってしまった。
前方からヒールの音を響かせながらやってくる人影に目も耳も、すべての感覚を奪われた。未央にとって遠藤と同じく同僚で同期の竹下 理沙(たけした りさ)だった。
やがて目の前でヒールの音が止むと、未央は深く俯き足早にその場を立ち去ろうとした。しかしすれ違いざまに発せられた彼女の攻撃的な言葉にすぐに足を止めることとなる。
「ここは会社よ。あからさまに避けるような態度、いい加減止めてよ」
俯きながらも見開いた未央の瞳は大きく揺れていた。
「仕方ないじゃない。彼が私を選んだんだから」
そして瞳をぎゅっと閉じると、一言も返事をすることなくその場を立ち去った。
一度きゅっときつく唇を結んでからなにかを振り払うように頭を振ると、もう一度トイレにでも行こうかと足を一歩進めた。しかしその足はすぐに止まってしまった。
前方からヒールの音を響かせながらやってくる人影に目も耳も、すべての感覚を奪われた。未央にとって遠藤と同じく同僚で同期の竹下 理沙(たけした りさ)だった。
やがて目の前でヒールの音が止むと、未央は深く俯き足早にその場を立ち去ろうとした。しかしすれ違いざまに発せられた彼女の攻撃的な言葉にすぐに足を止めることとなる。
「ここは会社よ。あからさまに避けるような態度、いい加減止めてよ」
俯きながらも見開いた未央の瞳は大きく揺れていた。
「仕方ないじゃない。彼が私を選んだんだから」
そして瞳をぎゅっと閉じると、一言も返事をすることなくその場を立ち去った。