この想いが届くまで
最終面接の日から十日後。
「槙村未央です。今日からよろしくお願いします!」
未央は新天地で、気合十分の挨拶で初出勤の日を迎えていた。
一方、社長室には秘書の百瀬がスケジュールの確認に訪れていた。
「来月末の彰浩(あきひろ)様の一周忌ですが」
西崎は表情一つ変えず机の上に広げた書物を閉じると立ち上がり、扉へと向かう。
「もちろん行くさ。身内なのだから」
「もうおひとかたの方は……どうされますか」
すれ違いざまのその百瀬の言葉に、西崎の表情に変化は見られないが何も答えなかった。
「あれからもう、一年ですか」
百瀬の独り言のような問いかけに、西崎は扉の持ち手に手をかけ一瞬だけ立ち止まるが、すぐに強い眼差しをで前を見据えるとガチャッと音を立て部屋を出て行った。
「槙村未央です。今日からよろしくお願いします!」
未央は新天地で、気合十分の挨拶で初出勤の日を迎えていた。
一方、社長室には秘書の百瀬がスケジュールの確認に訪れていた。
「来月末の彰浩(あきひろ)様の一周忌ですが」
西崎は表情一つ変えず机の上に広げた書物を閉じると立ち上がり、扉へと向かう。
「もちろん行くさ。身内なのだから」
「もうおひとかたの方は……どうされますか」
すれ違いざまのその百瀬の言葉に、西崎の表情に変化は見られないが何も答えなかった。
「あれからもう、一年ですか」
百瀬の独り言のような問いかけに、西崎は扉の持ち手に手をかけ一瞬だけ立ち止まるが、すぐに強い眼差しをで前を見据えるとガチャッと音を立て部屋を出て行った。