この想いが届くまで
◇ 2 ◇
01 夜の社長室で1
喪服に身を包んだ西崎は、運転手付きの高級車の後部座席に足を組んで腰かけ、窓の外の煌びやかな街に目を向けていた。
「今日はこのまま自宅にお戻りください」
秘書の百瀬の声にもすぐに反応することなく、しばらくしてから口を開く。
「気、遣ってくれてるのか」
「いえ。社に戻っても、本日の仕事はもうないので」
互いに無表情の淡々とした会話は一回そこで途切れ、西崎は腕時計に目を向けた。外はもう真っ暗だがまだ午後七時を少し回ったところ。
「飲みに行かれますか?」
「いや、まだ時間が早い」
西崎には一人でゆっくり飲むことのできる落ち着いた雰囲気のお気に入りのバーがある。時々足を運ぶが、あの日以来、彼女には会っていない。ふと、未央のことを思い出した。
「少し、寄りたいところがある」
西崎はもたれかかった背中を少し起こすと、そう運転手に声をかけた。
「今日はこのまま自宅にお戻りください」
秘書の百瀬の声にもすぐに反応することなく、しばらくしてから口を開く。
「気、遣ってくれてるのか」
「いえ。社に戻っても、本日の仕事はもうないので」
互いに無表情の淡々とした会話は一回そこで途切れ、西崎は腕時計に目を向けた。外はもう真っ暗だがまだ午後七時を少し回ったところ。
「飲みに行かれますか?」
「いや、まだ時間が早い」
西崎には一人でゆっくり飲むことのできる落ち着いた雰囲気のお気に入りのバーがある。時々足を運ぶが、あの日以来、彼女には会っていない。ふと、未央のことを思い出した。
「少し、寄りたいところがある」
西崎はもたれかかった背中を少し起こすと、そう運転手に声をかけた。