この想いが届くまで
バタバタと忙しい足音を響かせ土屋は部屋を出ていった。少しして音が聞こえなくなると西崎がため息をついた。
「……想像以上だったな」
「映像確認してきます」
百瀬は部屋を出る前に一言だけ未央に「後日でいいので法務か上司に今日のこと報告しておいてください」と伝えると、その場を離れる。未央は脚の力が抜けてその場にゆっくりしゃがみこむ。
「び、びっくりした……」
様々な理由で心臓がどきどきと音を立ててはいるが、ほっとして力が抜けてしまった。すると目の前に手が差し出された。
「大丈夫?」
「……え」
未央はこくりと小さく頷いてからその手を取って立ち上がった。
「大丈夫です。ちょっと、色々びっくりしただけで……」
すぐに手が離れ、行き場を失った手をもう片方の自分の手で包み込みながら無理やりほほ笑む。
「じゃ、じゃあ私戻りますね」
「今の気分は?」
「……はい?」
「今の気分」
「……ほっとは、してますけど……正直」
「うん」
「最悪の気分です……」
土屋の態度には腹しか立たないし、会えて嬉しいはずの西崎とこんな形で会うなんて、と未央は内心しょんぼりと気落ちしていた。
「そうか、同じだな」
「……え?」
「気晴らしにいこう!」
「……は、はい?」
「仕事は? もう終わる?」
「えぇっと……はい。メールの確認だけして帰ろうと……」
「じゃあ30分後に駐車場で。地下の」
「……え? え!?」
「じゃあ、またあとで」
西崎は残りの仕事に足早に向かう。未央はポカンと口を開けて1人残った会議室に立ち尽くす。はっとして今日の服装を確認する。トップスはさりげない袖フリルが可愛いお気に入りのペプラムブラウスだが、ボトムスが今日に限ってスッキリとしたシンプルなパンツスタイル。
(スカート履いてこればよかった……は、メイク、さっき私も直せばよかった……!)
未央も会議室を飛び出して、残りの仕事を終わらせ化粧室に直行するのだった。
「……想像以上だったな」
「映像確認してきます」
百瀬は部屋を出る前に一言だけ未央に「後日でいいので法務か上司に今日のこと報告しておいてください」と伝えると、その場を離れる。未央は脚の力が抜けてその場にゆっくりしゃがみこむ。
「び、びっくりした……」
様々な理由で心臓がどきどきと音を立ててはいるが、ほっとして力が抜けてしまった。すると目の前に手が差し出された。
「大丈夫?」
「……え」
未央はこくりと小さく頷いてからその手を取って立ち上がった。
「大丈夫です。ちょっと、色々びっくりしただけで……」
すぐに手が離れ、行き場を失った手をもう片方の自分の手で包み込みながら無理やりほほ笑む。
「じゃ、じゃあ私戻りますね」
「今の気分は?」
「……はい?」
「今の気分」
「……ほっとは、してますけど……正直」
「うん」
「最悪の気分です……」
土屋の態度には腹しか立たないし、会えて嬉しいはずの西崎とこんな形で会うなんて、と未央は内心しょんぼりと気落ちしていた。
「そうか、同じだな」
「……え?」
「気晴らしにいこう!」
「……は、はい?」
「仕事は? もう終わる?」
「えぇっと……はい。メールの確認だけして帰ろうと……」
「じゃあ30分後に駐車場で。地下の」
「……え? え!?」
「じゃあ、またあとで」
西崎は残りの仕事に足早に向かう。未央はポカンと口を開けて1人残った会議室に立ち尽くす。はっとして今日の服装を確認する。トップスはさりげない袖フリルが可愛いお気に入りのペプラムブラウスだが、ボトムスが今日に限ってスッキリとしたシンプルなパンツスタイル。
(スカート履いてこればよかった……は、メイク、さっき私も直せばよかった……!)
未央も会議室を飛び出して、残りの仕事を終わらせ化粧室に直行するのだった。