この想いが届くまで
◇ 4 ◇
01 会いたいです1
休日に未央は朝から部屋の片づけに没頭していた。洋服を一枚ずつ手に取り、必要か不要かの判断は早く不要なものは元に戻さずに次々と避けて積み上げていく。洋服の選別がひと段落すると、そのまま休まずに小物類の整理にとりかかる。ミニチェストに入っているアクセサリー類を引き出しの上から順番に確認しながら、普段からきちんと整理していることもありここは捨てるものはないかな、と一番下の引き出しを開けた時に思わず未央の手が止まる。アンティーク風の小物や雑貨、小さなキーホルダーやぬいぐるみなどが詰まっていた。その中の一つを適当に手に取った時だった。部屋のインターホンが鳴った。ドアホンに映っていたのは友人の志津加だった。
「早かったね」
「うん、早起きしちゃったし久々に話したいなって思って」
昨夜志津加から明日のお昼頃少し寄ると連絡をもらっていた。志津加は部屋に入るとまず、未央が手にしている卵型をしたキラキラと存在感を放つ小物入れのような物を指して言った。
「それなに持ってるの?」
「あぁ、これ? 昔旅行に行った時にオシャレだ可愛いって思って買ったものなんだけど……家に置いたらなんか存在感ありすぎて馴染まなくて」
「あー、分かる。私も今回オルゴール二個も買ってきちゃった。何か買わなきゃって焦って。いらない……」
「ん?」
「あっ、これおみやげ。代休と有休くっつけて北海道行ってきて今日まで休みなんだ。全部お菓子だから」
「わぁ、ありがとう」
未央は紙袋を受け取る。志津加はきょろきょろと部屋を見渡して首をかしげた。
「どうした? 珍しく散らかってるけど」
「あぁ、ごめん。片付けの途中なの。昨日仕事帰りに忘れてた冬物をクリーニングに取りにいってきたんだけど……もう収納が限界でさ」
「あー……ここキレイだし住みやすいと思うけど、建物自体の作りが古いから収納が足りないと思うよ。いいかげん引っ越せばぁ?」
「そうなんだよねぇ……うーん」
「その手に持ってる使わない雑貨こそまず捨てるべきじゃない?」
「まぁ……うん。これは燃えないゴミだからまた後日にでも」
適当な場所に小物入れを置いて、北海道の話を聞こうと振り返った時だった。志津加の顔が目前にあって思わず「わっ!」と大声を出して未央は尻もちをついた。そんな未央を追いかけるようにしゃがんだ志津加が未央の顔をじっと見て言う。
「肌、めちゃくちゃ綺麗じゃない? 何があった、男?」
「……もう、なんなの? その……昔からこういうことになると妙に勘が鋭いのは……」
「聞こうじゃないか!」
志津加は未央の肩に手を置いてにっこり笑った。
「話すのはいいけど。多分……信じてくれないと思う」
「んん?」
未央が唯一西崎との話をしてもいいと思えるのは志津加だけだ。ただ、信じてもらえる自信はなかった。
「早かったね」
「うん、早起きしちゃったし久々に話したいなって思って」
昨夜志津加から明日のお昼頃少し寄ると連絡をもらっていた。志津加は部屋に入るとまず、未央が手にしている卵型をしたキラキラと存在感を放つ小物入れのような物を指して言った。
「それなに持ってるの?」
「あぁ、これ? 昔旅行に行った時にオシャレだ可愛いって思って買ったものなんだけど……家に置いたらなんか存在感ありすぎて馴染まなくて」
「あー、分かる。私も今回オルゴール二個も買ってきちゃった。何か買わなきゃって焦って。いらない……」
「ん?」
「あっ、これおみやげ。代休と有休くっつけて北海道行ってきて今日まで休みなんだ。全部お菓子だから」
「わぁ、ありがとう」
未央は紙袋を受け取る。志津加はきょろきょろと部屋を見渡して首をかしげた。
「どうした? 珍しく散らかってるけど」
「あぁ、ごめん。片付けの途中なの。昨日仕事帰りに忘れてた冬物をクリーニングに取りにいってきたんだけど……もう収納が限界でさ」
「あー……ここキレイだし住みやすいと思うけど、建物自体の作りが古いから収納が足りないと思うよ。いいかげん引っ越せばぁ?」
「そうなんだよねぇ……うーん」
「その手に持ってる使わない雑貨こそまず捨てるべきじゃない?」
「まぁ……うん。これは燃えないゴミだからまた後日にでも」
適当な場所に小物入れを置いて、北海道の話を聞こうと振り返った時だった。志津加の顔が目前にあって思わず「わっ!」と大声を出して未央は尻もちをついた。そんな未央を追いかけるようにしゃがんだ志津加が未央の顔をじっと見て言う。
「肌、めちゃくちゃ綺麗じゃない? 何があった、男?」
「……もう、なんなの? その……昔からこういうことになると妙に勘が鋭いのは……」
「聞こうじゃないか!」
志津加は未央の肩に手を置いてにっこり笑った。
「話すのはいいけど。多分……信じてくれないと思う」
「んん?」
未央が唯一西崎との話をしてもいいと思えるのは志津加だけだ。ただ、信じてもらえる自信はなかった。