この想いが届くまで
「自信なさげにウジウジしてたらやめとけって言ってたわ。……次いつ会うの? 海外行ってるんだっけ」
「んー……今夜帰国予定らしいから早ければ明日かな? いや、無理か……」
「ちゃんと連絡とってるんだ」
「まぁ、うん……」
少しずつ小さくなる未央の声の変化も志津加は敏感に感じ取る。
「会うなら今夜でしょ」
「疲れとか時差もあるし……」
「時差ボケの心配するなら明日のがきついよ」
「だから……うん。来週でいい。いつでも……」
「は? 」
「こわい、顔がこわい!」
「可愛いわがままの一つや二つ言える相手であってほしいと思うな。相手は年上なんだし」
私に言えるのはもうこれだけ、と付け加えて志津加は清々しく笑った。
「会いたいって顔に書いてあるよ。さっきのろけ出したあたりからずっと」
「うん、……会いたい」
「よし、メッセージ送ろう。スマホどこ?」
「や、ちょっと待って。今飛行機だと思うから……」
「関係なくない?」
この後はひとしきり女子トークで盛り上がって、正午を少し過ぎた頃に志津加は美容室の予約があると言って帰っていった。
一人になり、片付け途中で散らかったままの部屋で未央はスマホを手にベッドに寝転がる。
「こんや……」
小さく呟きながら“今夜会えますか?“と声に出しながらメッセージアプリ上に文字を入力して、あとは送信するところまできて動作を止めてしばらくじっと画面を見つめる。
(やっぱり……)
未央は作ったばかりの短い文章を全部消してすぐにもう一度作り直した。
そして“会いたいです“とだけ素早く入力すると、今度は止まらずに送信した。
「お、送っちゃた……」
気が抜けた声を出しながらうつ伏せになって、枕に顔をうずめてはっとする。“今夜“を入れ忘れてしまった。それでも自分にしては良くできた、頑張ったと自分で自分を褒めて未央は何度も頷いたのだった。
「んー……今夜帰国予定らしいから早ければ明日かな? いや、無理か……」
「ちゃんと連絡とってるんだ」
「まぁ、うん……」
少しずつ小さくなる未央の声の変化も志津加は敏感に感じ取る。
「会うなら今夜でしょ」
「疲れとか時差もあるし……」
「時差ボケの心配するなら明日のがきついよ」
「だから……うん。来週でいい。いつでも……」
「は? 」
「こわい、顔がこわい!」
「可愛いわがままの一つや二つ言える相手であってほしいと思うな。相手は年上なんだし」
私に言えるのはもうこれだけ、と付け加えて志津加は清々しく笑った。
「会いたいって顔に書いてあるよ。さっきのろけ出したあたりからずっと」
「うん、……会いたい」
「よし、メッセージ送ろう。スマホどこ?」
「や、ちょっと待って。今飛行機だと思うから……」
「関係なくない?」
この後はひとしきり女子トークで盛り上がって、正午を少し過ぎた頃に志津加は美容室の予約があると言って帰っていった。
一人になり、片付け途中で散らかったままの部屋で未央はスマホを手にベッドに寝転がる。
「こんや……」
小さく呟きながら“今夜会えますか?“と声に出しながらメッセージアプリ上に文字を入力して、あとは送信するところまできて動作を止めてしばらくじっと画面を見つめる。
(やっぱり……)
未央は作ったばかりの短い文章を全部消してすぐにもう一度作り直した。
そして“会いたいです“とだけ素早く入力すると、今度は止まらずに送信した。
「お、送っちゃた……」
気が抜けた声を出しながらうつ伏せになって、枕に顔をうずめてはっとする。“今夜“を入れ忘れてしまった。それでも自分にしては良くできた、頑張ったと自分で自分を褒めて未央は何度も頷いたのだった。