溺愛ドクターに求愛されて

「沙織ってさ、押しに弱いよね?浮気された元カレとも押されて付き合い始めたんじゃない?」


それは自分でも自覚がある。確かに弘樹とは弘樹からの積極的なアプローチがあって付き合い始めた。


というか今まで付き合ってきた人達はみんなそうだ。私から好きになったことって一度もないかも。


頼まれると断れないし、それで大変になっちゃう事もよくある。


「人の気持ちばっかり気にして、自分の気持ちは押し殺してばっかりでしょ? そんで相手はそんな沙織に甘えてて我慢してる沙織にも気付かなくて、苦しくなってばかりなんじゃない?」


越川先生はまるで見ていたかのように私の恋愛パターンを指摘する。


「優しすぎるんだろうね。そういう所も俺はいいなって思うけど、今までの恋愛と同じなんてごめんだからね。
俺は沙織に甘えられたいし、わがままも言ってほしい。だから、沙織から言わせるから」


そう言って微笑んだ越川先生の外科医らしい長い指が私の頬を包み込む。


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