溺愛ドクターに求愛されて
「本当に、ラッキーですよ。分かってますね、越川先生。二人並ぶとお似合いでいい感じですしね」
何だか意気投合して盛り上がっている二人に恥ずかしくなってきて私は赤くなる。
何か分かんないけどこの二人が組んだらまずい気がする。
「い、井上さん。巡視の時間ですから、私先に行ってますね」
そう言って私は越川先生に会釈をしてナースセンターを出で自分が担当している病室を一つずつ回っていく。
怖がりな私は夜中の巡視が嫌いだけど、電気を点けても大丈夫な部屋は点けちゃう。
「沙織」
明るい部屋で点滴の速度の調整とかをしていると後ろから名前を呼ばれてビクッとする。
後ろを振り返ると越川先生が肩を震わせて笑いながら私の事を見ている。
「なるほど、怖がりなのに夜勤大丈夫なのかなって思ってたんだけど電気点けてるんだね」
そう言われてクリアな患者さんのいる部屋は点けませんよと恥ずかしいのをごまかすように言うけど越川先生は笑っている。