溺愛ドクターに求愛されて

「越川先生、まだ帰らないんですか?」


もう大分遅い時間だけど。まだ赴任してきたばかりなのに、当直なわけではないよね。


「そろそろ帰るよ。ちょっと気になる患者さんがいたんだけど。帰る前に沙織の顔見とこうかなって」


そう言った越川先生が私に近付いてくる。


「落ち着いた頃でいいから、沙織の休みの日メールで教えて。休みもらうから、デートしよう」


そういえば昨日、そう言われたな。お互いの事もっと知りたいからって。


医者だからじゃなくて、ちゃんと越川先生の事を見て決めようと思ったから、私は頷いた。


私が頷いたのを見て嬉しそうに微笑んだ越川先生が私の唇にチュッとキスをした。


「こ、越川先生。ここ、病室です」


唇を押さえて真っ赤になってそう言う私にクスクスと楽しそうに笑う。


「それ、病室じゃなかったらいいって聞こえるんだけど。じゃ、デートの時にたくさんさせてもらおうかな」


そう言った越川先生が私に背を向ける。


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