溺愛ドクターに求愛されて
でもさん付けもダメって、呼び捨てにしろってことだよね。
催促するみたいに間近で顔を覗きこまれて、私は恥ずかしいと思いながらその名前を口にする。
「ゆ……すけ……」
ドキドキしながらそう名前を呼ぶけど、越川先生は納得がいかないらしい。
「前の彼氏の事は名前で呼んでたんでしょ?ほら、ちゃんと呼んで」
確かに、弘樹の事は普通に名前で呼んでたけど。でも、越川先生とは全然違った。
「だって、名前呼ぶだけでこんなにドキドキするの初めてで……」
正直にそう言うと越川先生ははあっとため息をついて初めてした時みたいに私の事を抱き上げた。
「そんなかわいい事言って、俺の理性試してる? 本当に沙織は困っちゃうな。いっぱい名前呼んでもらうから、たくさんドキドキしてね」
二回目のお姫さま抱っこだけど、全然慣れなくて越川先生の首にしがみつく。
「お、重いから」
「重くないよ。いいから、前にも言ったけど沙織は俺に甘えてればいいの」
う、わ。心臓が痛いくらいにドキドキし始めて私は越川先生に身を任せる。