溺愛ドクターに求愛されて

「いいよ、今こうして沙織が俺の腕の中にいるから。だけどもう逃げ出さないでね」


その言葉に頷いた私の頬に、裕介の温かい手が触れる。


「大切にするよ、沙織の事。不安にさせないように、努力もする。だけど、俺は医者だから。俺にしか救えない命がそこにあったら沙織よりそっちを優先すると思う。だから寂しい思いは……させちゃうかもしれない」


真っ直ぐに私を見つめてそう言う裕介に、私は微笑んだ。


「うん、分かってるよ。ちゃんと理解してるから、大丈夫」


医師である以上、そうする事は当たり前だと思うしそうしてほしいと思う。


そう言った私に裕介は顔をしかめる。


「それはそれで寂しいな。本当に沙織は優しいんだから。その分、会える時は目一杯甘やかすからね」


そう言った裕介に、私は微笑んだ。


この人となら、きっと大丈夫だ。何の不安もないのはどうしてだろう。


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