溺愛ドクターに求愛されて
それでも私は、旅をやめる事はできない。
あの地にとどまっても、あの人が私のものになることはないのだ。
あの人は神のものだ。私もまた神のもので、私はこの巡礼の旅をやめる事はできない。
それはあの人と同じように、私自身が選んだことだ。
ならばせめて清く生きよう。
あの人にあの世で再会したときに、胸が晴れるよう……何の間違いも犯さずに、清く生きて見せよう。
神よ、この人生をあなたに捧げると私は誓った。
ただ、願わくば生まれ変わったらあの人と共に生きられますように……。
同じ家に帰り、同じ時を過ごし、悲しみも喜びも共に分かち合えますように。
それが今の私の、唯一の願いだ。
さあ、先に進もう。旅は続くのだ、この足が動かなくなるその日まで、私は歩き続けなければいけない。
涙を拭いて、私はまた前を向いて歩き出した。